大手予備校などで実施しているリサーチ結果が返却され、志望校の判定が見えてきただけでなく、各予備校がボーダーラインを公表している。例えば、河合塾のボーダーライン予想(バンザイシステム)や駿台では選太君などで出願先までの距離を見ることが出来るが、受験生が一番困惑させるのが志望校判定に差がある点である。あるリサーチではA判定だが別のリサーチではC判定になっているなど受験生にとって何を信用すれば良いかわからない状態である。ここ数年で見られる傾向である。その際に、出願先を決める際に考え方を書いてみたい。
リサーチ結果に予備校ごとに差があるのは仕方がないが、どちらを信じるかは自分たちで考える必要がある。その際に考えている内容が以下の表である。特に悩ましいケースを考えてみよう。
志望校判定 | 国公立大学 | 私立大学 |
志望校判定A | 出願する | 出願する |
志望校判定B | 出願する | 出願することを検討 |
志望校判定C | 場合により出願 | 出願しない方向で検討 |
志望校判定D | ほぼ出願しない | 出願しない |
志望校判定E | 出願しない | 出願しない |
【志望校判定Aの場合】
まず、志望校A判定なら出願しても良いだろう。ただし、私立大学ではA判定でも不合格の可能性がある。
【志望校判定Bの場合】
国公立大学であれば出願する方向で検討する。一方で、私立大学はB判定であっても合否が揺れる場合があるので金銭的な問題・私立大学の受験計画と併せて検討する(金銭面で問題がなければ出願する)
【志望校判定Cの場合】
一番悩ましいのがC判定であるが、国公立大学の中で2次試験のウェートが大きい大学は出願させる方向で進める。一方で、2次試験が1科目や小論文のみの場合など共通テストのウェートが大きい場合は厳しい戦いになる。
例えば、京都教育大志望者で立地面や学問内容に拘りがないなら奈良教育大学にワンランク下げることも検討しても良い。ただし、大阪府立大学の代わりに奈良県立大学に変えるなど大幅に偏差値が下がったり立地面・教育内容が大幅に変わる場合は当初の予定通りC判定でも出願を検討しても良い。ただし、C判定でも出願をする理由は2次対策をしていることが前提である。共通テストが終わった後から2次対策をしている場合は間に合わない可能性がある。
一方で、私立大学の場合はC判定は期待せずに出願して欲しい。金銭的に余裕がない場合は出願せずに一般入試で合格を勝ち取った方が良い場合がある。
【志望校判定Dの場合】
国公立大学では、どうしても行きたい大学で2次ウェートが高い大学では出願しても良いが合格は難しい(*稀にD判定・E判定でも合格する場合があるが2次で高得点を採っている場合が多い)。一方、私立大学は奇跡的な何かがない限りは期待できない。
【志望校判定Eの場合】
記念受験として取り組んでみよう。得意科目があれば2次で逆転の可能性もあるが、最後まで頑張りたいなら出願しても良い。
国公立大学と違って私立大学では指定校推薦・AO入試・公募推薦・内部推薦など入学定員の半分以上が推薦枠で進学を決めている場合がある。そのため、入学定員の枠が埋まっていくと一般入試や共通テスト利用入試の枠を減らすことがある。そのため、私立大学の共通テストボーダーラインが例年通りにいかないことがある。ここ数年、入学定員の厳格化により顕著になってしまった。そのため、安全志向が強まった今年度は厳しきなる可能性があるので、金銭的な問題を考える必要がある場合はB判定以上しか出願を勧めていない(それも合否は期待するなと言っている)
ここ数年、Fランクの大学や中堅私大でAO入試や指定校入試(*基準)は簡単なのに一般入試が苦戦することがある理由の一つである。
一番、受験生が悩ましいのは志望校の判定がリサーチによって異なる点である。特に難しい例を考えたい。
志望校判定2種類 | 国公立大学 | 私立大学 |
A・C | 出願する | 出願するが警戒 |
B・D | 出願を検討する | 期待しない |
C・E | 本命なら出願 | 出願しない |
B・C | 出願を検討する | 出願するがかなり警戒 |
国公立大学で「出願を検討する」「本命なら出願」は本命の大学であり、ワンランク下げた大学には行きたくない場合は出願して良い。ただ、C・Eの場合は2次試験のウェートが大きくないと厳しい戦いになる。
例えば、大阪府立大学からワンランク下げて奈良県立大学などに行くなら関関同立に進学すると判断する受験生も多くいるので私大とのバランスを考えれば良い。
多くの学校・予備校などでは実績も必要になるのでB判定以上でないと勧めないケースも多いが、自分が本当に行きたい大学であればC判定でも挑戦してよいと思う。
共通テストの平均点予想が下がると予想していたが中間発表後から上がりそうな展開である。下の以前の記事を参考にしてほしい。
2021年大学入試共通テスト平均点予想と中間発表から入試を考える
各予備校が各教科やや難化~難化で発表した概要が、平年度並みに変更されている。その点からもプロでも読み切れなかったのが今年度の共通テストである。そのため、強気で出願してくる可能性がありボーダーが上がるか不安に感じている受験生も多い。
実際に今回の共通テストは難しい(面倒な)問題が多かったが、知識がなくても何となく答えに達することが出来る問題が多かった。確かに、得点率50~60%程度の学力層が例年と違い崩れることなく点数を採っている点と数学の平均点が大幅に上がりそうな点から、共通テストの平均点は学力中位層・下位層が引き上げたのではないか。
では、どの辺りに大きな影響が出るかを考えれば中堅国公立大学・地方国公立大学が割を食う可能性がある。一方で、難関国公立大学では志願者数が増加しても昨年度の減少分が戻ってくるかどうか程度ではないか。大手予備校では全体で8%ぐらい志願者が増加する可能性があるが、そこまで東大・京大は増加を見込んでいないため恐れる程度ではない可能性がある。
共通テストの結果、志望校のランクを下げることはあってもランクを上げることは難しいのではないか。特に難関国公立大学は2次科目が3科目~4科目ある・倫理・政経を受験している必要があり2次試験対策をしているため簡単に方向転換は難しい。よほど、ボーダーに届かない限り志望校を変更しない可能性がある。
一方で、中堅国公立大学・地方国公立大学では1科目や2科目程度なので志望校を変える可能性が高い。そのため、しっかりと2次対策をしておかないと残念な結果になる可能性もある。
私立大学との受験計画をしながら、しっかりと私大・前期入試に対応できるようい最後の最後まで頑張ってください。