よく、参考書は何冊も取り組むよりも1冊をしっかりと仕上げる方が効果的であると受験関連の本にもよく書かれている。そのため、何度も繰り返しが1冊を覚えこむ受験生も多いが正しい行動なのだろうか。それを考えたい。
参考書は繰り返し学習する必要がある参考書と問題を解いていくために必要な参考書の2種類がある。そのため、必ずしも1冊に絞って学習する方が効率的な学習と言い切れない。
例えば、繰り返し学習する参考書では次のメリットを考えて取り組ませている。
この2点が特に繰り返し学習で効果がある点である。新しい参考書ばかり取り組んでいると同じレベルであっても読む速度が落ちる、強調されている重要事項しか覚えない可能性がある。例えば、漫画や小説で考えれば、初めて読んだ時の時間と2回目、3回目で読み直した時間の方が早く、そして話の中心でない内容に気づきやすくなる。そのため、繰り返し学習は重要なことであるが一方で次のパターンも考えてほしい。
現代文や英文など、同じ文章を何度も繰り返し読めば学習効果を高められるのか
確かに、1回でなく2回、3回と取り組んだほうが効果的だろうが、かけた時間に対して学習効果が高いと言えない。重要なことは、解き方を覚えて解き方を問題演習で使える様にすることである。解き方を覚えるには繰り返し学習が最適であるが、解き方を使えるようにするなら多くの問題演習が最適である。
つまり、参考書を「繰り返し取り組む参考書(インプット)」と「解けるようにする参考書(アウトプット)」に分ける必要がある。
よく英語長文では3回問題を解けるように日付を書ける枠がつくられていることがある。ただ、果たして意味があるのか疑問に感じる場合もある。1回目でしっかりと学習していれば2回目、3回目は必要なのか?1回目で、あまりにも問題が解けていなければ参考書レベルが間違っており意味がない。また、2回目、3回目の期間が短すぎれば覚えているし、長すぎれば学力が伸びなさすぎではないか(次のランクの問題が解ける力がついていない)。そのため、大事なのは1回目の演習時にしっかりと取り組んでおけば良いだけである。
実際に取り組んでいたやり方は、①最初に自分で問題を解かせる、②本文を全訳させる、③解説を読んで理解度を高めるである。この様にすれば、本文を3回読んだことになり、②で文法上の注意点や生徒の間違いがちな点を指導することもできる。そして、③で最後の細かい内容を詰めたらよい。
この点からも繰り返し1冊を取り組むのではなく、取り組むべき参考書を繰り返し取り組むことが大事である。
受験生が自分で読み返すべき参考書を見つけることは難しい。自分の学力に合わない参考書に時間をかけても無駄なため、必要な参考書を読み返すことが大事である。例えば、以下の内容は難関私立大学受験希望者に毎日取り組むように指示した内容である。
これらの教材は繰り返し学習するように伝えていたが平日でも4時間近くかかる作業である。多くは通学時間や授業の合間など利用して取り組んで演習時間を確保していたが、あくまで受験直前の学習量であり段階を踏んで到達した内容である。そして、演習問題などで新たな知識は上記のどこかに書き留めるようにしていた。覚えることは重要であるが、忘れないようにすることも重要である。一方で、国公立大学は科目数が多いので以下の表でまとめた。
この様に、限られた教材を繰り返し学習することは重要である。一方で、上記の内容を受験勉強を始めたころの高校生が取り組めるはずがない。その場合は以下の内容である。
この程度の内容である。1日1時間程度の内容であるが、代わりに英語長文などの問題演習を多く取り組ませて英語慣れをしている。
以上のことから自分に合った参考書を繰り返し取り組みながら、難易度を上げていくことが重要である。