高校の進学先を考える際に、大学受験を視野に入れて高校選びを考えるのも1つの方法です。高校が発表する進路実績に騙されることなく本当に自分にあった高校選びをするために何が必要かを考えてみたい。
高校のHPやオープンスクールに行くと進路実績を熱心に伝えてくれます。そこで問題になるのは、進路実績は果たして高校の進路指導の結果なのでしょうか?
高校の進路実績を調べた際に以下の結果になることがあります。
高校 (偏差値) | 国公立大学合格者数 (旧帝国大学合格者数) | 同志社大学合格者数 | 関関立合格者数 |
A高校 (72) | 202 (89) | 133 | 355 |
B高校 (62) | 52 (1) | 52 | 324 |
C高校 (58) | 5 (0) | 15 | 159 |
D高校 (52) | 3 (0) | 3 | 29 |
4つの高校を比較してみました。偏差値に関してはサイトにより前後するので大まかに考えてください。進学校に該当するA校は合格実績も素晴らしいです。進学校に関しては高校の授業に関係なく、自分たちで学習する力があるので高校の授業がどうだと考えなくても良いでしょう。その高校に合格する力があるなら大学受験も成功しやすいです。
問題となるのは、偏差値60前後の準進学校と中堅高校です。準進学校は中学時代にクラスの上位(5科目で400~450点)を維持した子ども達なので優秀な力があるでしょう。恐らく、高校入学時には大学入試でも成功すると安易に考えているかもしれません。しかし、現実は厳しいものです。例えば、B高校では国公立大学が52名の合格者を出していますが、卒業生が300名であるとすれば合格率は17.3%しかありません。40人学級では7人程度しか国公立大学に合格していないことがわかります。それでも多いのではないかと思う点もありますが、この国公立大学にはマイナーな国公立大学も含まれています。そして、B高校に入学した高校生の多くは漠然と良いイメージで進学できると思ています。
さらに問題はB高校と偏差値が4しか変わらないC高校では進路実績が更に悪くなる点です。国公立大学の合格者も5名しかおらず、卒業生が300名であるなら合格率は1.6%であり、40人学級であれば0.6人しか合格をしないことを意味しています。
この様に考えると、準進学校以下では国公立大学や難関私立大学へ進学できる高校生は1部であり、平均的な生徒はもっと偏差値が低い大学に進学していることがわかる。そのため、進路実績の良い結果に関しては必ずしも高校の進路指導のお陰と言うより、生徒自身の努力による結果の場合が多い。
余談であるが、中堅以下の高校では進学実績を数値で公表していない高校も多い。そのため、過去3年の主な進学先として有名大学を記載している場合もあるが、1回でも合格すれば主な合格先になる。その点を注意して中学生や保護者は進路実績を見なくてはいけない。
先程のA高校~C高校を比較した際に、それでも関関同立を合格しているから良いのではないか?と思っている人もいるが、注意してほしいのは合格者数であって進学先数ではない点である。
私立大学では併願することが基本となっている。例えば、以下の様に受験して合否が出たと考えよう。
受験校1 | 受験校2 | 受験校3 | 受験校4 | 受験校5 | 受験校6 | |
生徒A | 関西大 〇 | 関西大学 〇 | 関西学院 〇 | 近畿大学 〇(高得点〇) | 近畿大学 〇(高得点〇) | 大阪府立大学 〇 |
生徒B | 関西大学 〇 | 関西大学 〇 | 近畿大学 〇(高得点〇) | 近畿大学 〇(高得点〇) | 近畿大学 〇(高得点〇) | 大阪府立大 × |
生徒は2人しかいないが、合格者数は、大阪府立大学1、関西学院1、関西大学4、近畿大学10という結果になる。つまり、私立大学では複数回の併願が可能なため学力のある生徒が合格者数を増やしてくれる。そのため、関関同立合格者数が多くても延べ人数は何人?という状態になる。以前、ある高校でセンター試験の結果が良かった生徒に高校がお金を出してセンター形式で複数の合格者を出して問題になったが、合格者数は重要な指標の1つだとわかる。
余談であるが、近畿大学は通常の試験に高得点方式や併願方式などがあり、1度の試験で合否が3回出される。全て合格した場合に、これを1つと合格者をカウントするべきか、3つと合格者をカウントすべきか悩ましかったが近畿大学からの報告書で合格者3と書かれているので3とした。以上のことから私立大学の合格者数を100%信用してはいけない。
結論から言えば、偏差値60前後の準進学校に進学しても関関同立レベルでさえ不合格になる高校生が多い。偏差値50程度の高校では関関同立レベルに到達するのは数%程度の確率である。そのため、輝かしい合格実績に騙されないようにしましょう。もちろん、進学先で上位にいれば問題ないでしょう。
進学校(偏差値65以上)の高校に進学する中学生以外は、大学受験を視野に入れるなら高校選びを慎重にする必要がるでしょう。実際、どの辺りを見れば良いかは次回説明します。今回は、進路実績だけを信じて高校選びをすると失敗する場合があります。
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ただ、偏差値40前後であっても正しい勉強方法を実践すれば難関大学に合格できます。逆に、中学時代に優秀であっても高校で勉強をしなければ学力は落ちます。まずは、そのことを覚えておきましょう。