近畿大学情報学部の2022年度の入試倍率は10.7倍となり、前身の理工学部情報学科の5.3倍から大きく倍率が上昇した。この点は近畿大学の入学式でも述べられてた様に難易度は高くなったのかもしれない。話題性はもちろんあるが、では実際の人気や難易度は本当にあったのだろうか?
PSの生みの親である久夛良木健学が学部長に就任したことで話題になっており関西では広告を目にする機会が多かったと思う。そのため話題性はあったが本当の人気を考えてみよう。まず、情報学部の入試を知ってもらいます。
日程 | 試験科目 | 合計点 |
公募推薦 | 「英語」「数学ⅠA・数学ⅡB」 | 200 |
一般 英数理型 | 「英語」 「数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学Ⅲ・数学A・数学B(数列、ベクトル)」 「物理基礎・物理」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」から1科目 | 300 |
一般 英国数型 | 「英語」 「国語(漢文除く)」 「数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学B(数列、ベクトル)」 | 300 |
共通テスト B日程 | 「個別試験で最高得点科目(100)」 【共通テストから3科目選択】 ①外国語「英語」(リスニングを含む)等 ②国語(近代以降の文章) ③「数学Ⅰ・数学A」「数学Ⅱ・数学B」「情報関係基礎」 ④「物理」「化学」「生物」 ⑤地歴公民 | 400 |
共通テスト 後期 | 「個別試験で最高得点科目(100)」 【共通テストから2科目選択】 ①外国語「英語」(リスニングを含む)等 ②国語(近代以降の文章) ③「数学Ⅰ・数学A」「数学Ⅱ・数学B」「情報関係基礎」 ④「物理」「化学」「生物」 ⑤地歴公民 | 300 |
入試科目を見た際に、一般入試では英国数型であれば理系の人材を集めることになるが、英国数型であれば文系や中堅国公立層でも受験しやすくなる。そのため、倍率が全身の理工学部より大きく伸びたと言われるが、前提として数学Ⅲを挫折した受験生も受験しやすいため志願者増加は当然だろう。注目するべきことは共通テスト併用入試を受ければ数学を使わずに合格する可能性がある点である。
ただ、受験者数が伸びたことで人気があるまっているが学生の質についても考えましょう。志願者数が伸びたなら合格最低点も大幅に上がっていないと可笑しくなります。
お名前.com科目としては文系よりの理系という感じになります。一般の英数理ぐらいが理系と一緒ではないでしょうか。そのため、文系・理系ともに比較をしてみましょう。
日程 | 情報学部 | 理工学部 電 気 電 子 通 信 工 学 科 | 総合社会学部 社 会 ・ マ ス メ デ ィ ア 系 |
公募推薦 1日目 | 137 | 125 | 158 |
公募推薦 2日目 | 130 | 117 | 144 |
一般A 1日目 | 202 | 182 | 187 |
一般A 2日目 | 201 | 172 | 205 |
一般B 1日目 | 204 | 164 | 199 |
一般B 2日目 | 203 | 174 | 197 |
情報学部に近い形で理系では理工学部の電気電子通信工学科、そして文系では総合社会学部の社会・メスメディア系を選んだが、確かに情報学部は理系科目の中では合格最低点が高い傾向にある。ただ、電気電子通信工学科では数学Ⅲまでの試験範囲であることを考えれば情報学部は英国数型がある分だけ逃げ道があるとも考えられる。
ただ、理工学部の時と比べて志願者倍率が倍になり10.7倍だとアピールしている割には合格最低点は許容範囲の点数ではないでしょうか。しかも、英語が得意科目であれば合格率を上げることができることになるます。
この様に、話題の新設学部は志願者を集めやすい傾向にあり、その点では成功したと言えるでしょう。ただ、一般入試A日程で繰り上げ合格を出している様に難易度が上がれば上位の大学に流れるリスクもあります。大体、3年目まで現在の水準(合格最低点)が維持できれば成功と言えるでしょう。
データーサイエンスがこれからの時代を担うという雰囲気で学部の新設など多くの大学が行っています。関西で最近新設された学部・学科の代表的なものは滋賀大学(2018)・兵庫県立大学(2019)・大阪工業大学(2021)・大和大学(2023予定)・京都女子大学(2023予定)・大阪成蹊大学(2023予定)と続々誕生している。ただ、この動きは2000年頃にIT革命の影響で「情報学部」が続々と新設されたことに似ている。それから20年が経過しましたがSEなどの地位は向上したと言えるのでしょうか?
また、国際教養大学の真似をして国際学部を続々と新設したり、看護師不足から看護学部が多くの大学で新設されるなど時期によって学部の人気が集まることはあります。国際学部も10年ちょっと前に関西国際大学が関西では早めにつくった時期が難易度が最も高かったと思います。類似の学部が増えたことと魅力の減少で人気が下落傾向にあります(*それでも英文科から生徒は流れますが)。
データーサイエンス学部の生徒が社会にでて即戦力で働けるほど甘いものではありません。それは社会人が一番わかっていることでしょう。そのため、いかに即戦力を鍛えることができるかどうかが重要になります。
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