進路関連の話をする際に大学を選ぶ際には何を学べるかを考えて、自分の興味がある内容の大学を目指しなさいと言うことも多い。AO入試の拡大など、学ぶ意欲が重視されているが本当に正しいのか疑問である。なぜ、疑問に感じるかを説明したい。
大学案内を手にすれば気づくかもしれないが、難易度が高い大学ほど文字量が多く、難易度が低い大学ほど写真が多くなりイメージだけしかない(*専門学校の案内に近づく)。このことからわかる様に、大学案内はターゲット層に合わせて作成されている。
学校案内で「興味深い学び」があっても授業を受けると最初のイメージと異なる場合がある。なぜなら、生徒の学力が低いと授業内容の質も下げなくてはいけないからである。例えば、アルファベットの「b」と「d」の違いが分からない大学生に英語教育をする場合にどうすれば良いのですか?また、ウクライナ問題を説明してもヨーロッパの地図や冷戦などなにも知らない生徒相手に教えるにはどうすべきなのですか?経営学部で会計を学ぶのに四則計算も十分にできない生徒に何を教えるのですか?この様に生徒の学力が低い場合は授業内容も簡単にするしかありません。結果的に、「学びたい学問がある」と考えて入学したはずが、授業では何も学べないことがあります。ただ、学生自身も学べていないことさえ気づいていないことも多いです。
心理学部を希望する受験生が多いですが、心理学は理系分野(理系より)であり必要最低限の数学ができないと大変だと言うのですが、難易度の低い大学では四則計算も怪しい生徒が多いのではないでしょうか?小数点の計算ができないけど、実際に進学している場合も多いです。不思議と経済学部では数学が必要と考えるのですが、心理学部ではあまり考えていない生徒も多いです。そのため、数学(統計学)を学ぶ必要がないなら心理学部に行かなくても、まとめページで学ぶことが出来そうですが…。
学力が著しく低いにもかかわらず高校でも何も勉強せずに進級・卒業でき大学も簡単に進学している場合があります。結果として、大学によっては厳しいことが言えないのも事実です。
例えば、中退率が高くなると教育熱心じゃないという烙印が押されます。また、授業アンケートで評価を気にする先生も多くいます。高校などでも授業アンケートを見れば不満の理由が理不尽の場合がありました。私自身も授業アンケートで評価が低い授業がありチェックをいれられたことがありますが、チェックに来た先生から言われたのは生徒が悪いの一言です。理由は、進学系のクラスであるため上位層を伸ばしてほしいという要望でした。そのため、受験を意識した内容を話すのですが評価を低くしているのは学力下位層でした。逆に学力上位層は評価が高く「なぜ、こんな面白い話を聞かずに寝るかわからない」とコメントしていました。それでは、逆に学力下位層に合わせた先生の評価は下位層からの評価は問題ありませんが学力上位層からは「授業の進路が遅い」「説明が長すぎる」と評価が低くなっています。これは、どこにターゲットを当てるかの問題ですが、そもそも小学生範囲の内容を理解していないこと自体が問題です。でも、大学では偏差値帯によっては学力下位層ばかりだから難しい内容を教えることはできません。そして、テストは易しくする必要があります。なぜなら、授業評価で悪く書かれるからです…。完全にクチコミサイトみたいになっている気がしますが…。
また、高校時代が緩くなっていることもあり最低限のルールを守らなくても良いという発想をもった学生も増えています。それは提出期限です。
実際に、大学合格後の入学金(AOや指定校など)や提出すべき書類を期限以内に間に合わせない生徒がいます。そんなのは無条件で合格取り消しにして貰えれば良いのですが、生徒募集に苦しんでいる学校ほど待ってくれます。当然、こちらは大学側に頭を下げたり謝罪文を送ったりすることもあるのですが、それを受け入れるということは大学に進学後も同じようなことはするでしょう。そもそも、AO入試に落ちたことで理由を問い合わせるケースもあります。
そのため、親身になって話を聞いてくれる大学が良い大学と単純に考えるべきではないでしょう。難関大学では親身に対応することは少ないでしょう。この親身とは学校に来ていなかったら連絡するなど昔の大学では考えられないことです。実際に、大学の入学者に同伴する保護者の数が増え続けていることからも子どもよりの大人が増えている気はします。
「何が学べるか」で大学探しをすると、口当たりの良いことが書かれた大学案内ばかり目につきます。そのため、「何が学べるか」の前に授業はどの様な雰囲気かを知る方が良いかもしれません。ただ、本当の姿は小規模の大学では見れないかもしれない点が悩ましい所です。