通信制高校に通う生徒数は年々増加している。文科省の学校基本調査によれば高校生は全国で300.8万に人であり昨年度より8.4万人減少しているが、通信制高校に在籍している生徒数は20.6万人と増加傾向にある。そのため、通信制高校が人気になっていることがわかる。ただ、本当に通信制高校に進学することは正解なのか?
通信制高校の最大のメリットは学校に行く回数が少ない点です。基本的にレポートが課題になっているために全日制の高校の様に平日に学校に通う必要がありません。どの様な制度かは学校によってちがうため一様には言えませんが、基本的には学校に通わないことも多いです。そのため、生徒数で最大なのは沖縄県の2.5万人であり、北海道の2.2万人になります。大阪は1.6万人となっています。
もちろん、沖縄県や北海道が通信制高校の生徒が多いというわけではなく、大阪などに在住しながら沖縄や北海道の通信制高校に在籍している場合があります。ここからわかる様に、学校に無理して通う必要がないのが特徴であり、年1回合宿のように本校で授業(アクティビティ?)をして単位を認定している場合もあります。
この様に聞くと、ますます全日制しかイメージがない中高生や保護者は混乱しますが、要は年間数回のスクーリングで卒業に必要な単位を取得できます。もちろん、レポート指導など教員などが対応したりしていますが、特に高校生らしい学校生活を過ごす必要もありません。
そのため、イメージとしては全日制の高校で学校に通えなくなった不登校の生徒が転学して通学するケースやスポーツなどの日本各地を遠征する必要がある生徒が在籍しているケースが多いです。有名なのはフィギュアスケートの紀平梨花がN高に在籍していたことではないでしょうか。その意味では、通信制高校の意義はあります。
以前、不登校気味であった生徒の担任をした時に、2年生で学校に全く来れずに進級の見込みはない状態であった(*最終の会議で決定なので100日以上欠席になっていても原級留置ですとは言えない)。ただ、方向性が見えないまま欠席数が増えていき最終的に11月末日に転学となった。普通に考えれば卒業は1年遅れることになるだろうが通信制では単位制のため同じ年に卒業を迎えた。卒業後に生徒が遊びに来て当時のお詫びと現状を言ったのだが…普通に3年で卒業できる点と指定校推薦で大学に行ける点に驚いた…。(この点からも指定校推薦入試が真面目な生徒が受けているという考えはどうかと感じるが…。)
この様に、不登校生徒にとっては「やり直し」をする意味でも通信制高校が受け皿になることは良いだろう。ただ、在籍数が増加している現状に違和感を感じる。
私自身も若いころに通信の高校で教えていたこともあるが、どちらかと言えば障害を持った生徒に対して登校させながらレポート指導などを行っており必要性を感じることができる学校はありました。ただ、良くも悪くも通信制高校に関してはN高のお陰で話題になり人気になりましたが、過重労働で教員組合と設置者側で対立が明るみに出たように色々な問題も抱えているのも事実です。
以前、通信制の高校で働いていた元同僚と会った際に、「教員が辞めたけど補充がないから大変」と言っていたが、3人だけの教員で2人辞めて補充がない意味がわからなくて話半分には聞いていました。また、さて授業をするかな…とLINEが来たら誰もいない教室の写真で誰も来なかったと言われた際に…さすがに酷いと感じました。でも、誰も来ないのは公立の単位制高校でも体験しているから珍しくもないかもしれませんが…。
このことから、全日制の高校がしっかりと教育しているとは言えないかもしれませんが、通信制の高校では学ぼうとするなら自分自身でしっかりと取り組めないといけません。確かに、学校生活を無駄と考えている高校生が通信制の高校で受験勉強をすれば難関大学には合格できるかもしれません。ただ、N高の影響で通信制高校のハードルが下がったことは否定できません。本来は何かの理由により全日制の高校に通えない高校生の受け皿になっていたはずが、高校での集団生活は面倒な生徒の受け皿になっていないかは気になります。特にN高では著名人がアドバイザリー・ボードメンバーになっていることから本当に意味ある教育をしているかを確認して欲しいものです。確かに、1部の生徒には良いが、大多数は何でも受け入れている側面がないかです。約2万人が通うN高(S高含む)でありながら単純に1学年6000人以上の卒業生がいるにも関わらず進路全体がわからない状態です。ただ、これは他の通信制高校でも同じことは言えるかもしれません。全体では圧倒的な人気がありますが、転学先ではN高が一強でもありません。やはり、それぞれのニーズに合わせた場所に転学はするのでしょう。
最後に、通信制高校へ最初から進学を希望するなら、「なぜ通信制高校に進学するのか」を明確にしておく方が良いでしょう。全日制高校と違って時間が有り余るからです。中には化粧や自由な髪形をしたいから進学を希望する場合や勉強をしたくないと考えているかもしれません。でも、必ず「なぜ通信制高校に進学するのか」を考えてください。一方で、残念ながら全日制の学校で躓いてしまった高校生も全てを諦めるのではなく通信制高校でやり直しもできることを知っておきましょう。ただし、その場合は安易にやり直しができるではなく、頑張ったけどダメな場合に選択肢にいれれば良いでしょう。
不登校生徒の数が増えていることを考えれば、今後も通信制高校の希望者は増えていくでしょう。
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