共通テストが導入されてからセンター試験で良かったと言う声はよく聞く。そして指導内容の変更など色々と課題はあるが、そもそも私立大学希望者は共通テストだけでなく、共通テスト模試を受験する意味はあるのだろうか?
センター試験は基本内容を抑えている問題で構成されていることは間違いないが、ただ私大入試とは乖離した状態にあったのも間違いない。センター形式のマーク模試を受験して判定が悪いとしても過去問で正答率が高ければ問題はなかった。あくまで、指標の1つとしてセンター形式の模試や本番を受験していたのは間違いない。そのため、センター試験が完璧な試験であるわけではないが、ただ多くの受験生が受ける試験としてはマシな試験と言える。
では、センター試験の時代に私大希望者はどの様に指導していたかと言えば、10月下旬・11が通常上旬の模試までは受験させていました。それは、試験慣れはもちろんのこと、ある程度の目安になるのも確かだったからです。実際に本番を受験するのは上位大学希望者ぐらいであり、産近甲龍レベルであれば特に受験させていませんでした。
一方で、共通テストが私大受験生にとって受難となったのは共通テストの問題が私大入試と乖離し過ぎている点です。思考力を問う問題が多く出題されていると言えば聞こえは良いのですが、リーディングの分量を考えると思考力より判断力の方が試されている気もします。そのため、私大受験生は共通テスト模試を受験しても判定は参考程度で良いかもしれません。もちろん、高得点を採れるなら良いのですが、たとえ点数が低い場合でも落ち込む必要はありません。それより、過去問で点数が採れるかどうかが大事になります。
しかし、それでも共通テスト模試を受験しなくてはいけない理由は全国規模の外部模試が少ないためです。私立大学希望者に合わせた模試の数は少なく受験母数も少なくなります。そして、外部受験で場慣れをするために受験することは意味があるでしょう。ただ、秋頃であれば規模が小さくても関関同立模試などを実施している場合もあるので、あえて共通テスト形式を受けなくてもそれらの模試で代用することができます。
結果、何のために私大受験生が共通テスト形式模試を受験しているかと言えばテスト慣れぐらいになってしまったのではないでしょうか?流石に志望校判定が出ても統計的には正しくても、それをもって私大受験先を決めにくくなっています。
お名前.com私立大学の中でも国公立大学受験生を囲い込みたい大学であれば共通テスト利用の入試は意味があるのですが、今の様に多くの大学が参加する共通テスト利用は必要でしょうか?もちろん、参加しておけば大学側は試験会場の準備や問題作成の負担がなく受験料が手に入るので参加は続けるでしょうが…。ただ、私立大学希望者が共通テストをこのまま受験していく意味があるのでしょうか?
私立大学受験生にとって共通テストは本番直前の試験慣れの意味合いが大きくなっています。それ以外のメリットは意外に点数が採れた際に共通テスト利用で出願して引っ掛かるだけの印象が強いです。もちろん、共通テスト利用で救われた受験生も多くいますが、私大希望者の中には何も使わなかった方が圧倒的に多いのも事実です。また、昔ほどセンターリサーチの信憑性がない気がする点も、A判定だから大丈夫という発想にならずに何してるのか?と思ってしまう点もあります。
ただ、これからも私立大学は共通テスト利用を続けることは間違いないのでしょうが、私立大学希望者の中には共通テスト未受験者も増えて来るのではないでしょうか?そして、以前であればセンター試験を意識した入試問題を出題した大学も共通テストに入試問題を合わせて来るでしょうか?恐らく、受験生の負担を考えて従来通りにするのではないでしょうか?
結果、国公立大学受験生ばかりが苦労することになるかもしれません。だからこそ、国公立大学の価値が高まると思いたいのですが、これも一部の国公立大学だけではないでしょうか。入試改革で思考力などを測るといっておきながら、受験生の影響がどうなるか考えられなかったことで思考力とは?と感じる点もあります。
もう1度、入試制度を抜本的に変える必要がないでしょうか?このままでは、国公立大学受験者のみ負担が増えます。せめて、推薦系の入試も共通テスト受験を義務化しても良いのでは?