全国で定期試験を廃止する中学校や高校がでてきている。色々な教育的な問題に取り組む結果、定期試験を廃止しているが効果は不透明である。ただ、中学校に関しては定期試験を廃止するのは否定的であるが、高校に関しては進学校であれば定期試験は廃止すべきだと考えている。その理由について考えてみよう。
まず、中学校で定期試験を存続させた方が良い理由の1つに内申点が高校入試で大きな影響がでるためである。そのため、客観性が疑われる平常点のつけかたに依存した成績で生徒の進路が左右されるのは否定的だからである。もちろん、客観的に評価をつける様に教員もしているが、客観性を重視すれば紋切型になり生徒個々を評価しているといえず、生徒個々を評価するなら主観的な評価が増える可能性はある。そもそも、授業態度の良し悪しをしっかりと誰が判断できるのでしょうか?(*平常点について評価数値を公表していないのであれば客観性は信用できない)。そのため、定期試験で内申点の大部分を決める必要があると思います。
一方で、大学受験では一般選抜型入試では評定平均を使用せずに学力試験のみで合否が判断されることが多い。特に、難関大学では評定平均は推薦入試程度しか評価しません。また、大前提に評定平均の価値は高校によって大きく異なります。そのため、評定平均「4.0」は学力が高いことを意味しているのではなく、まぁ真面目に授業に取り組んだのかな?程度の価値しかありません。例えば、保護者懇談の際に保護者から「中学時代は30点、40点ばかりだったのに高校に入って80点台ばかりで頑張っています」と言われたのですが、心の中で「その様な子でも簡単に80点台がとれるテストですから…」と感じていました。実際、全国模試では偏差値40を割り込むレベルでしたが、評定だけで見れば4.5程度はあります。
つまり、高校では評定平均が意味を持つのは上位大学への一般選抜型入試を受験する生徒以外になります。そのため、進学校などでは評定平均を意識しなくても良いため定期試験は不要ですが、それ以外の高校では勉強させるために定期試験ぐらいは実施しても問題はないでしょう。敢えてなくす必要はありません。
お名前.comそれなりの学力が高い高校の定期試験を見ていると疑問に感じる場合があります。それは、何を目的に授業や試験をしているかが見えない点です。それは、明らかに共通テスト以上の難易度の問題(*場合によれば難関私大でも出題数が少ない問題)を当たり前の様に授業や定期試験に出題している場合があります。これは、評定平均をつけるために定期試験の平均点を抑える必要があるから無駄に難しい内容の試験をしているケースがあります。
進学校や準進学校の生徒は真面目な生徒が多いこともあり試験前に勉強します。そのため、授業内容が基本であれば簡単に点数が採れてしまいます。だから、問題を難しくして平均点を調整しようとする意味は分かりますが、受験の視点を考えれば効果はないでしょう。それなら、出題範囲を広げて(1学期学習した内容全部)出題する方が意味があります。なぜなら、高校生の多くは何が入試に頻出で何が難問・奇問かわからない状態にあるにも関わらず難問・奇問ばかり必死に解いても意味はないでしょう。
それなら、共通テストレベルの問題を何度も何度も解かせる方が効果的に感じます。実際に、地区トップの進学校以外は入学時の学力の割に進路実績は弱いと感じます。もっと伸ばせたはずでしょうが…。
そのため、進学校・準進学校であれば全国模試などを中心に学習目標をつくれるので、敢えて定期試験を実施しなくても良いでしょう。また、3年生になると定期試験より受験勉強を優先する方が意味があります。定期試験より受験勉強に重視できる高校であれば定期試験が失くした方が良いでしょう。