東京都が来年度から、高校生の大学進学を支援するため、予備校や学習塾の講師を都立高に招いて講習を実施する校内予備校を実施すると決めているが経済格差の解消となるのか?
校内予備校に関しては進路部長の際に業者からアプローチがあり費用の見積もりや導入校での見学なども行ったが費用対効果が見込めずに導入はしなかった。まず、土日に加えて長期休暇や平日も校内予備校を導入した場合に1校当たりの費用がどれくらいになるか計算しているのだろうか?もし、効果的な授業を期待しているかもしれないが、予備校などは大人数であっても1人当たりの授業料はかなりの金額になる。そのため、税金という目に見えない形にするため業者の言い値になりかねない(*ただ、入札をするのだろうか?)。私学などで導入している高校では月1万円負担(*残りは学校負担)や学校運営費として計算しているが、果たして、どれくらいの費用になるか不明である。当初予算で1億円が計上されているが、例えば十分な補習を実施した場合に週8コマ程度(50分×8コマ)程度実施すれば1クラスにつき約100万~300万以上の費用になるでしょう。つまり、都立高校全てで1クラスずつ校内予備校を実施すれば予算は簡単に超えてしまいます。
②経済格差は関係がない可能性が高い
経済格差を埋めるためと言いながら、恐らくは上位校のみの校内予備校を実施する可能性があります。そして、上位校に進学できる高校生は中学時代に多額の教育費を費やしていると言えるでしょう。そのため、経済格差の解消にはつながらない可能性があります。
③校内予備校の講師=質が高いと言えない
そもそも、校内予備校を実施した場合に授業力が高い講師ではない可能性があります。特に、都立高校で急に実施が決まった校内予備校では講師の供給数が足りない気がします。また、実際に外部講師を招聘して授業を展開してもらったこともありますが、費用に対して効果はないケースが多々あります。そもそも、大手予備校や人気講師の授業を受けた全ての受験生が成績を上がるでしょうか?もちろん、指導方法など上手い講師は多くいますが、①実力のある講師不足、②生徒のモチベーションは予備校より高くない、この2点があります。無料で受講できるのは魅力的ですが、無料だからこそ意欲の低い生徒も受講するケースがあります。そして校内予備校のためにクラスの延長線上になり気づかないレベルで他の生徒の邪魔をしているケースもあります。そのため、単に授業をすればよいのではない難しさがあります。
そもそも、「講師の学力の高さ=指導力」ではないことを念頭に置いておく必要があるでしょう。
ドメイン取るならお名前.com④授業を改善しない不思議
校内予備校を導入するかどうかは別として、そもそも通常授業を改善できない弱さがあります。正確に言えば、受験に対応したカリキュラムを編成できないことが多い。私立高校であれば実績を上げるために受験重視の授業や学校行事を組み込んでいますが、公立高校では受験重視というより「なぜ、このカリキュラム?」と疑いたくなることも多くあります。模試の計画などを見れば、何を目指してているかわからないケースもあります。このことを考えると、本当に改善しないといけないのは授業ですが、現行のままでは私立高校と比べて魅力がないと考えたのかもしれません。
ただ、授業の改革を目指して、色々と右往左往しているケースが多く、結果として非効率的な授業が実施されているケースも多くあります。そのため、校内予備校を導入することで教員が刺激になれば良いのですが、実際には何も反応がない場合も多くあります(*時間がないケースや意欲が低いケースなど)
学校での校内予備校の場合は生徒が学校に残っている以上は誰かが学校に滞在する必要があるでしょう。そして、この様な校内予備校の場合は時間が遅くまであります。さらに、校内予備校を実施するための生徒の取りまとめや場合によれば授業前準備まで教員が実施する場合があります。そのため、1部の先生に負担が発生することは避けられません。時には、なぜ外部講師の授業を成立させるために下準備しているのか?と考える可能性もあります。
⑥校内予備校を成功させるためには
効率的に校内予備校を成立させるためには「通常授業で何をするのか?」を明確にしておく必要があります。例えば、基礎内容のみ通常授業で取り扱って入試レベルは校内予備校に任せる形にするなど、お互いが「何ができて」「何を任せるか」を取り決めておくべきでしょう。ただ、レベル別に分けないのであれば、受講生徒を選別する必要があるかもしれません。あるいは、単に学習意欲を高める目的だけで校内予備校を開催するのも1つの手かもしれません。
そのため、校内予備校を効率化するためには教員側が負担を覚悟で取り組む必要はあります。そもそも、スタサプなどのオンライン授業があるにも関わらず校内予備校を導入する意味は何かを事前に共通認識を持つ必要があります。
ただ、残念ながら校内予備校を上手く活用しようとやる気がある先生がいるなら既に校内で何がしら取り組んでいるのではないでしょうか?逆に、その意欲を消沈させる危険性もあります。
最後に、通用授業の改革ができないなら校内予備校を導入しても結果は同じ気がしますが…。それより、学力の高い生徒が受験してもらえるような仕組みが必要なのですが…。結果はどうなるでしょうか?