指定校推入試を選択すべきか?
指定校推入試
中学生や保護者の志望校選びで指定校推入試の枠が基準になっている場合がある。確かに、学生からすれば志望校の指定校推薦枠があれば受験勉強の必要がなく、早期に進路が決まることもあり希望者が多いことはわかる。しかし、そもそも指定校推薦入試の仕組みを理解せずに指定校を前提とした進路選択のリスクを知っておく必要がある。
〇リスク①・・・希望の大学(学部)の指定校枠がない
まず、指定校推薦入試の推薦枠は高校毎に推薦枠の人数や基準、そもそも推薦枠がない場合があります。さらに、学部毎の推薦枠や基準が決まっているので自分が進学したい大学・学部の指定校推薦枠がない場合があります。また、基本的には例年通りの推薦枠が依頼されますが、急に推薦枠がなくなるケースもあります(*増える場合もある)。それが確実にわかるのが、高校3年生の6~7月頃までに大学から高校に依頼がきます(*高校によって生徒への公表時期は異なる)。そのため、本当に指定校推薦入試を狙えるかどうかがわかるまで時間がかかります。
〇リスク②・・・校内選考で選ばれない
基本的に推薦人数が決まっているため、希望者が多ければ選考になります。その基準は高校によって違うために明確に公表されていない場合があります。ただ、基準の1つに評定平均があるでしょうが、推薦枠1の場合で評定平均が4.7であっても、別の生徒が4.9であれば校内選考で負けます。そのため、誰が希望するかによって志望校に受験できるかどうかが変わります。また、高校で評定平均を高くするつもりでも、思った以上にテストの点数が伸びずに評定平均が高くない場合があります。それは、どの高校でも成績の平均を60点前後にするため、中学時代には80以上しかとっていなかった学生でも高校では点数が下がります。それは、周りも同じような学力なので、その生徒たちが成績で60になるようにつけられるからです。そのため、予定通りの評定平均をとれない可能性があります。
〇リスク③・・・進路変更の難しさ
志望校の指定校推薦枠に選ばれるか決まるのは多くは9月頃になります。そのため、その時期に校内選考に選ばれないとなった場合に一般選抜入試を目指しますか?それまで受験勉強をしてこなかったのであれば間に合わない可能性が高くなります。結果として、残りの指定校推薦枠の中から選ぶか推薦入試・一般選抜入試に間に合いそうな大学を選ぶかになります。そのため、想像していた大学と全然違う結果になる可能性があります。
以上のことを考えれば、指定校推薦入試には大きなリスクがあります。もちろん、受験勉強をしなくて良い点・評定平均さえとれば選択肢が増える・部活やアルバイトに力が注げるなど大きなメリットがあります。特に部活動の生徒の場合は引退時期が7月や8月になる場合が多く、夏休みに受験勉強に取り組む時間がない場合もあります。そのため、指定校推薦入試は大きなメリットですが…。
一般選抜入試にもリスクがある
一般選抜入試の大きなリスクは合格先を確保できない可能性がある点です。一定の学力があれば大丈夫ですが、たとえ学力が下位の大学であっても一般選抜は推薦入試で生徒をとり過ぎると急に狭き門になる可能性もあります。また、一般選抜入試まで頑張ったのに指定校推薦入試でいける大学だったケースもあります。そのため、それ相応の覚悟は必要です。では、もっとも良いパターンは何でしょうか?
それは、一般選抜入試を目指しながら①志望校の推薦枠があれば申し込む、②学力の伸びが間に合わない場合は方向転換することでないでしょうか。これらは受験勉強をベースに考えているので多くの高校生は避けたいでしょう。ただ、志望校を目指すなら相応の努力が必要です。安易に指定校があるから大丈夫と考えないでおきましょう。