「勉強が好きなのですか?」の質問
受験指導の場面だけではありませんが、生徒から「先生は勉強が好きなのですか?」という質問がある場合があります。生徒は勉強が好きだから先生になっていると考えているのでしょうが、その答えは違います。もちろん、何か知らないことを知ることは楽しい。ただ、授業で教えている内容は既に知っていることを教えているので学問的な知的好奇心はそれほどありません(*もちろん、生徒がどの様な反応するかは驚きはありますが)。
そのため、授業以外の時間にも過去問を解いたり、問題集を比較するなど勉強をしているかと言えば、「やるべき仕事をしているだけ」だからです。やりたいことを優先しているのではなく、やるべきことをしているだけです。好きか嫌いかではなく、いわゆる「勉強すること」が生徒の学力向上に直結しているためです。それが、仕事であることを考えれば好き嫌いで行動してはいけないでしょう。
知的好奇心の点だけを考えれば、何も学校の授業や受験に関わりのないことを知ることで満たされます。例えば、高校で探究活動がされていますが、そもそも分野にこだわりがなければ生徒は各自が主体的な取り組みをしてます。例えば、好きなアーティストのチケットを手に入れるために何をしなくてはいけないのか等、情報を駆使しながら、時に同じ趣味を持った人とコミュニケーションを広げて活動をしています。そのため、生徒は既に探究活動をしていることになります。しかし、これは学校が望む探究活動ではないのかもしれません。結局は、ある程度は方向性が定められた中で探究活動をしている場合が多くあります。
しかし、土台となる基礎学力がなければ探究活動がネットの情報を写しただけになります。実際に、探求といいながら出典がyahoo知恵袋やウィキペディアとなっている場合や外部機関に話を聞きにいったと思えば学校側が用意している場合もあります。
では、勉強が好きと思われるぐらい勉強している学生はどの様な生徒なのでしょうか?知的好奇心が高い生徒は学校の勉強以外のことに集中するかもしれません。また、テストの点数が自分の頑張りの評価と考えるかもしれません。ただ言えるのは、勉強する生徒は「やるべきことをしている」だけで、それが当たり前になっているだけかもしれません。この状態にもっていくことが教える側の役目かもしれません。ただ、これが難しい点でもあります。生徒にとって勉強以外に魅力的なことが多すぎます。そのため、教える側は試行錯誤していく必要があります。結果として、その姿が「勉強が好きですか?」の質問に繋がるのかもしれません。
ただ、楽しいのは生徒の学力が着実に伸びていると感じる点です。それでも、常に「何が一番合っているか?」を考える必要があるので楽しいだけではありません。しかし、簡単でないからこそ達成できた時の喜びはあります。
